2005年12月14日

ブッシュ大統領が、ついに、大量破壊兵器に関する誤った情報に基づいて、イラク戦争を始めたことの責任を認めました。米国ではすでに世論調査で回答者の半数以上が、イラク戦争の遂行について、大統領に対して不満を表わしています。米国のマスコミには、イラクとベトナムを比較する論調が強まっています。ニクソン政権の国防長官だったレアード氏が、珍しく「Foreign Affairs」誌に寄稿して、「米国がイラクに対する支援を打ち切った時こそ、イラクはベトナムと同じになる」と述べ、特に議会関係者が弱腰になることに警鐘を鳴らしています。彼もブッシュ大統領の「銃をぶっぱなしてから、後から結果について考える」テキサス流の政治手法を批判しています。

毎年数十億ドルの予算が使われている、米国の情報機関は、同時多発テロを未然に防ぐことに失敗した上、イラクの大量破壊兵器については誤った情報をホワイトハウスに流したことになり、まさに惨憺たる状態です。しかしブッシュ大統領の発言は、失敗の責任をすべて諜報機関に押し付けようとしているようにも見えます。

バグダッド陥落後、ブッシュ大統領が戦闘機のパイロットの制服に身を固めて、空母の甲板に降り立ち、「任務は完了した」という横断幕の前で勝利宣言をしたのが、ひどく空しく思い出されます。今日も戦争は終わっておらず、イラクでは、米国人とイラク人たちが死んでいきます。